モグラについて。
形態
モグラはずんぐりとした胴体を持つ。とがった鼻を持ち、眼は退化して小さく視力はほとんどない。また、耳も外見からは見えない。四肢は短く、前足の掌部は平たく大きくなり、鋭い爪がある。これらは地下で穴を掘って暮らすための適応と考えられる。また、前足は下ではなく横を向いているため、地上ではあまりうまく扱えない。全身が細かい毛で覆われ、鼻先だけが露出している。尾は短い棒状。
[編集] 生態
モグラは地下にトンネルを掘り、その中で生活する。ただし、掘削作業は重労働であるため積極的に穴掘りを行うわけではなく、主となるのは既存のトンネルの修復や改修である。地表付近にトンネルを掘ったり、巣の外へ排出された残土が積みあがるなどの理由で、地上には土の盛り上がった場所ができる。これを「モグラ塚」という。
地中に棲むミミズや昆虫の幼虫を主な食物としている。多くの種に見られる狩猟法は、一定の範囲内に掘られたトンネルに偶然引っかかってトンネル内に落下してきた獲物を感知・採取するという方法である。そのため、モグラのトンネルは巣であるのと同時に狩猟用の罠となっている。
モグラが地上で死んでいる例が時々見られ、「太陽に当たって死んだ」とされ、モグラは日光に当たると死ぬと言われてきたが、それは誤りである。モグラは普段地中に住み、地上はめったに出てこないため「太陽に当たって死んだ」と誤解されたのだろう。実際にはモグラはしばしば昼間でも地上に現われるが、人間が気付かないだけである。死んでいるのは、仲間との争いで地上に追い出されて餓死したものと考えられる。
実際、モグラは非常な大食漢で、胃の中に12時間以上食物が無いと餓死してしまう。この特性を知らないでモグラを飼い、餌を与えきれずに死なせてしまうことが少なくない。
なお、餌が手に入らなかった場合の対策として、唾液に麻酔成分が含まれており、それによって獲物を噛んで仮死状態にして巣に貯蔵しておくという習性を持つものが存在する。
一生地面から出ないイメージがあるが実は泳ぎが上手く、移動中やむなく水辺に当たった場合などは泳いで移動をする。
モグラの種類
モグラ科には12属が含まれる。主な属・種を以下に記す。
日本のモグラ
日本には4属7種のモグラ類が棲息し、さらに複数の亜種に分けられるが、分類には異説もある。7種のうち、コウベモグラを除く6種が日本固有種である。 北海道を除くほぼ全国で、都市部以外では人家周辺でも普通に「モグラ塚」が見られる。たとえば、都心の孤立した緑地である皇居でも、吹上御所にアズマモグラが棲息している。
日本のモグラ類は、“あまりモグラらしくないモグラ”であるヒミズ(日不見)類と、その他の真性モグラ類とに大別される。
ヒミズとヒメヒミズは森林の落ち葉や腐食層の下で暮らすが、動きが素早く、しばしば地上にも現れる半地下生活者である。
2属5種の真性モグラ類のうち、コウベモグラは西日本に、アズマモグラは主に東日本に広く分布する。両者の生息域の境界線は中部地方にあるが、やや大型のコウベモグラが少しずつ東側に生息域を広げつつある。これは、先に大陸から移入したアズマモグラが日本全土に生息域を広げたあとに、新たに大陸から移入してきたコウベモグラが東進しているためともいわれる。
一方、アズマモグラ以前の先住者といわれるコモグラ、ミズラモグラなどは生息域が減少し、山地などに隔離分布するようになってきており、それぞれに程度の差はあるものの、絶滅が危惧されている。
出展:ウィキペディア