この写真は、アズマモグラの穴です。 これは、モグラ塚と良いモグラが棲んでいる穴です。

 分布 [編集]

日本固有種であり、越後平野の一部を除く静岡県・長野県・石川県以北の東日本を中心に生息する。また、孤立個体群が京都府・紀伊半島・広島県・四国の剣山や石鎚山などの山地・小豆島の一部に分布する。                                                    

形態 [編集]

頭胴長は約120mmから160mm、尾長は約14mmから22mm、体重は約50gから130gになる。体の大きさは変異に富み、主に山地の生息する小型の個体群と太平洋側の大きな平野部に生息する大型の個体群を比べると、体重で2倍ほどの差がある。小型の個体については、コモグラ M. i. minorとして亜種とする説もある。尾は短く、吻上面の裸出した部分の形状が長方形になる。毛色は暗褐色だが、河川下流の平野部に生息する個体は褐色が強くなる。

生態 [編集]

低地の草原や農耕地から山地の森林に生息する。湿潤で土壌の深い平野部の水田周辺や畑、草地に多い。森林内でも土壌が豊かな所には生息する。地下にトンネルを掘り、そこで生活をする。掘り出された土は地上に出され、モグラ塚を作る。                                     トンネル内に落ちたミミズや昆虫の幼虫を餌とする。ヒルや冬眠中のカエル、植物の種子なども食べることがある。活動と休息を含む、13回の周期をもっている。                              トンネルの奥に、広葉樹の落ち葉を集めた径が約40cm、高さが約36cmになるボール状の巣を作り繁殖する。主に春が繁殖期だが、一部は秋にも繁殖する。1回に、2-6頭の仔を産む。寿命は約3年である。

モグラと人間 [編集]                                               日本では、古くはモグラのことを「うころもち」(宇古呂毛知:『本草和名』)と呼んでいた。また、江戸時代あたりでは「むくらもち」もしくは「もぐらもち」と呼んでいた。なお、モグラを漢字で「土龍」と記すが、これは本来ミミズのことであり(そのことは本草綱目でも確認できる)、近世以降に漢字の誤用があり、そのまま定着してしまったと考えられる。                                                                 日本各地で小正月には、「烏追い」と並んで土龍追い(もぐらおい)・土龍送り(もぐらおくり)・ 土龍打(もぐらうち)などと呼ばれる「農作物を害するモグラを追い出し、五穀豊穣を祈る神事」が行われ、その集落の子どもたちが集まり、唄を歌いながら、藁を巻きつけた竹竿などで地面を叩き練り歩くものである。

有用動物としてのモグラ [編集]

柔らかく、上質の光沢をもつモグラの毛皮は重宝され、20世紀に入るまで、乗馬用ズボンやコートなど、さまざまな用途に用いられてきた。                                            モグラの黒焼きは土龍霜と呼ばれ、日本でも民間薬として使われてきた。強壮作用、興奮作用、排膿作用があるとされる。『大和本草』の鼴鼠(ウクロモチ、モグラのこと)の項に、「肉ヲ焼テ癰疽諸瘻ヲ治スト云ウ」、つまりはオデキや痔などの化膿したものを治すと、本草綱目から引用している。また、中外医薬生産(中外製薬とは別)から、土龍霜を配合した「ユリアン」という夜尿症の治療薬が発売されている。