栗
ブナ科クリ属の総称。12種があり、日本、朝鮮半島、中国、西アジアからヨーロッパの地中海岸およびアフリカ、アメリカの東部から中部にかけて分布する。葉は互生。雌雄異花で虫媒花。充実した枝の先のほう、2、3芽から伸びた新梢(しんしょう)の葉腋(ようえき)に尾状の花穂を上向きにつける。この際、下部の葉腋につく花穂は雄花穂で雄花のみが着生し、上部の葉腋につく花穂はその基部に1、2個の雌花をつけ、さらにそれより先の葉腋には雄花をつける滞雌花穂と、雌花のみからなる雌花穂とがある。花には特有の臭(にお)いがある。雄花は花穂につく包葉の腋(わき)に形成され、無柄。雄しべは十数本、花糸は4〜5ミリメートルで葯(やく)は小さい。雌花は包葉の腋につく総包葉に包まれ、ニホングリでは3花、チンカピンでは1花からなり、無柄。雌しべは9本内外、花柱は3ミリメートル。総包葉には多数の披針(ひしん)形の鱗片(りんぺん)がある。受粉後成長するにつれ、総包葉はいがとなり、刺(とげ)が発達し、数本ずつ束をなして包全面を覆う。